Passo dello Stelvio 2757m

ステルビオ峠はアルプスのクルマが通れる峠としてはイゼラン峠(フランス)に次いで2番目の高さである。
ステルビオの名は自転車関連の商品名やクルマの名前にも使われている(いた)のでご存知の方もいるかもしれない。
また峠周辺は夏期限定営業のスキー場があることでも知られている。




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西側の九十九折れ




スタートはBormioの近くのキャンプ場。森の中をじわじわと上り深く暗い谷の中へ入っていく。
上高地の釜トンネルの様な狭いトンネルがいくつも続く。
どのトンネルにも明り取りの窓が開いていて真っ暗でないのが救いだ。
トンネル区間を過ぎると強烈な九十九折れが始まる。
14の急カーブがあると道路標識には書いてあった。ここをクリアすると明るく開けた谷間へ出る。



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慰霊碑と教会



広く明るい谷に遠くまで道が続いているのが見える。
周囲は牧草地、どこへでもテントを張れそうな気がする。
ポツポツと民家がある。民宿もあるようだ。道は平坦で楽。
ステルビオ峠は険しいイメージがあったのでこんな広い谷間があるとは意外である。
小さな教会があり戦没者の名が刻まれた慰霊碑がある。第1次世界大戦の頃のものだろう。


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スイスへの分岐




この谷を過ぎるとスイス国境のウムブライル峠の分岐に着く。
古い廃墟が1軒あり壁に標識が打ち付けてある。
ステルビオ峠まではあと3km、峠の白い建物がもう見えているけどここからが相当にきつい。
天へと上らんばかりの急カーブに息が上がり汗がしたたる。



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峠の賑わい




そして峠へ。ホテル、レストラン、土産物屋。多くの人で賑わっている。
音楽が流れ、スキー板を担いだ人たちが歩いていく。
ライダーはウヨウヨ、サイクリストはポツポツといる。
心静かに峠に着いた感動に浸るどころではない。
隅っこに自転車を置いてあたりを散策することにした。



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ファウスト・コッピの記念碑



ステルビオ峠で見落としてはならないのがこのファウスト・コッピの記念碑だ。
詳しい説明は省くが、彼は第2次世界大戦前後に活躍したイタリアで最も偉大な自転車選手の一人である。
じっくり眺めて写真を撮った後、屋台の良い匂いに誘われてパニーニを買う。
こんがり焼けたソーセージとケチャップ、マスタード、オニオンスライスをパンにはさんでもらいそれと缶ビール。
全部で1万リラであった。
近くのベンチに座って食べていると黒い雲が空を覆い寒くなってきたので早々に峠を下ることにした



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峠の東側は深い谷




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九十九折れ



まんじゅう型のこんもりしたOrtles/Ortler 3905mと幾筋もの氷河を正面に見ながら下っていく。
路面はつぎはぎだらけ、バイクもクルマも車線いっぱいに膨らんでカーブを曲がっていく。
よくぞこんな斜面に道を作ったものだ。しかも峠が開かれたのは200年近く前だというのだから驚きである。
10km程下ると一軒のホテルがある。(写真右上)そこから道は森の中へ。
Trafoiの村を通り過ぎこの日はPrato allo Stelvio/Prad am Stilfserjoch まで下ってキャンプ場に泊まった。





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Trafoiの朝



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峠へ。。



そして翌朝。

気持ちの良い快晴。峠日和だ。

実は昨日キャンプ場に着いてからずっと考えていたことがあった。
昨日下ったステルビオ峠のこっち側の坂道。下るだけでいいのか?今度何時来れるか分からない。走るなら今だ。今しかない!
芸術的とも言えるあの九十九折れをぜひこの足で上ってみたい。よし行こう!
と、1人で盛り上がり、今日また同じ道を上りに行くことに決めた。
峠は三差路でスイス側に降りられることも決定の大きな要因だった。
8時半に出発、すぐに2人のサイクリストが追いついてくる、でもなかなか抜かない。後ろから僕のランドナーを眺めていたようだ。
泥除けにクロモリパイプのキャリア、帆布製のサイドバックなどはヨーロッパでは殆んど見かけない。
2人は結構年配でMTBに乗っている。追い抜きざま大声で挨拶をして行った。僕もその後ろについて行く。
Trafoiあたりまで来るとようやく谷に暖かい陽射しが届き始めた。


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峠を見上げる


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峠で記念撮影



そしてステルビオ峠へと続く斜面とそれに刻まれた道筋の全容が姿を見せた。
体調が悪い時にこの坂を見たなら引き返したくなるかもしれない。でも今日は体力、気力共に絶好調である。
コーナーのイン側の一番きつい所を走る余裕さえある。
走っている時、立ち止まって休んで汗を拭っている時、自然と笑みが浮かんでくる。
傍から見れば変な奴だろう。でも何で峠越えなんてそんな苦しい事をするのかと聞かれたら、苦しい?いや楽しいからやってるんだ。とはっきり答えられると(この時は)思った。




2002年12月26日初出
走行日 1999年9月1、2日





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Commented by や ま at 2018-08-04 21:58 x
いつもそそられる美しい写真と文章、ありがとうございます。
ほぼ20年後になりますが、Stervio、走ってきました。西側往復だけですが。東側、下方から見る道も素敵ですね。
広い谷間の民家は、ほとんどなくなっていたようです。建物は残っていましたが。
Commented by akunisad at 2018-08-08 07:56
やまさん。コメントありがとうございます。返信遅くなりすいません。西側を上られたんですね。トンネルの連続から九十九折れ、高原を走った後の峠までの急斜面。変化に富んだ上りだったのでは。引き続きレポート楽しみにしています。
by akunisad | 2018-07-31 22:04 | Italia | Trackback | Comments(2)